セラミックコンデンサの使用例
セラミックコンデンサには,様々な利用方法が有りますが,例えば以下の様な例があります.
■バイパスコンデンサ(パスコン)
通常ICの電源端子は電流を突然引き込んだり,引きこまなくなったりという不安定な動作を繰り返します.ICの電源端子-GND端子間にコンデンサを接続することで,電源端子に電流が引き込まれる瞬間に電源電圧が低下するのを防ぎ,動作を安定させます.
■RCローパスフィルタ
抵抗と組み合わせてRCローパスフィルターを作る事ができます.RCローパスフィルタとは,抵抗によって電圧を電流に変換し,電流をコンデンサに入れることで変動を平均化することで,ローパスフィルタの出力には平均された電圧が出て行きます.これは信号にノイズが多い時に,それを取り除いて真の信号を取り出したいときによく使用します.
RCの定数は,どの周波数以上のノイズを除去したいか,つまり使いたい信号の周波数の上限はいくつかを考えて以下の式を元に設定します.例えば使いたい信号が1Hz~500Hzだった場合,fc(カットオフ周波数)は500Hz+αぐらいになるように設定します.
■CRハイパスフィルタ
抵抗と組み合わせてCRハイパスフィルターを作る事ができます.CRハイパスフィルタとは,コンデンサによって電圧の微分値(変化量)を電流に変換し,電流を抵抗に入れることで電圧に変換し,ハイパスフィルタの出力には入力電圧の変化量のみを抽出した電圧が出て行きます.
CR(コンデンサと抵抗)の定数は,以下の式で設定します.使いたい信号の下限を元にカットオフ周波数を設定します.
CRハイパスフィルタは以下のようにすると入力信号のオフセット電圧を変更することができます.具体的な使用例としては,マイク信号を増幅した信号をマイコンのA/D入力端子に入れるとき,オフセット電圧を変えないと扱いにくいため,この回路を使用する場合があります.
この使い方をする場合,カットオフ周波数はR1とR2の並列抵抗を使って計算します.
■LCローパスフィルタ
コイルと組み合わせてLCローパスフィルターを作ることができます.RCローパスフィルタに比べ,減衰率が高いため,より高性能なフィルタが作れます.また,電力損失が少ないため大電流を流す場合に向いています.
コイルとコンデンサを繋いだだけでは,次に紹介する共振回路となってしまい,カットオフ周波数付近で信号が増幅されてしまいます.通常,コイルのパラメータとしてQという要素があり,これにより増幅率が決まりますが,Qはコントロールができないため,必要に応じてコイル・コンデンサに抵抗を追加することで共振を抑えることができます.
■共振回路・発振回路
コイルとコンデンサを組み合わせると,特定周波数で共振する回路が作れます.LC共振回路には並列共振回路と直列共振回路の2種類があります.
・直列共振回路
直列にLC回路を入れることで,ある特定の周波数がLC回路に引き込まれるため,共振周波数でインピーダンスが急激に下がります.
・並列共振回路
並列にLC回路を入れることで,ある特定周波数でコイルとコンデンサの間でエネルギー交換が行われ,インピーダンスが急激に上がります.
以下の図は村田製作所_ノイズ問題を複雑にする要因より抜粋したものです
これを応用し,オペアンプと組み合わせると発振回路が作れます.以下の例はコルピッツ発振回路と呼ばれています.起動時のノイズやホワイトノイズを元にして,次第に共振周波数のみを増幅し,フィードバックにより安定して特定周波数で発振を続けるようになります.
ちなみに,水晶発振子と呼ばれる部品は,LC共振回路と等価な特性を持っており,マイコンに内蔵された発振回路に水晶発振子を接続することによって基準となるクロックを作っています.以下の図は村田製作所_水晶振動子の基礎知識より抜粋
■タイマー回路
コンデンサの電圧は電流値の積分値で上昇するため,一定の電流を流し続けると一定の傾きで電圧が上昇します.この特性を利用して,ある電圧になったら動作する回路を作ると,一定時間で動作する回路を作成可能です.
■チャージポンプ回路
コンデンサは電圧の微分値を電流に変換するため,ダイオードと組み合わせると電圧を上げる回路が作成できます.ダイオードは電流の逆流を防ぐため,チャージポンプ回路の出力電圧は電圧がプラス側に変動した時に上昇し,マイナス側に変動した時はダイオードにより下降しないという動作になります.
この時注意が必要なのは,チャージポンプ回路の出力に電流を消費する回路を使用する場合は,蓄えられた電荷が放電するため,せっかく上昇させた電圧がすぐに落ちてしまいます.従って,接続先の電流値に応じて工夫が必要になります.
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