アルミ電解コンデンサのリプル電流

 アルミ電解コンデンサには印加できるリプル電流の限界があります.この値は,ESRによって電力が消費され,アルミ電解コンデンサ自体が発熱することにより容量が低下するのを防ぐための指標です.例えば日本ケミコンのEMVY6R3ADA220MD55Gという電解コンデンサでは,データシートで以下のように定義されています.なお,リプル電流は実効値です.

 

EMVY6R3ADA220MD55Gのリプル電流

 

ちなみに,電解コンデンサのデータシートに書かれている耐久性は,リプル電流が規格内であることを前提に定義されています.

 

EMVY6R3ADA220MD55Gの耐久性

 

 ただし,リプル電流は周波数が低くなるほど,リプル電流の限界値が低下します.例えば日本ケミコンのEMVY6R3ADA220MD55Gという電解コンデンサでは,データシートで以下のように規定されています.この部品はD55というパッケージサイズの22uF品なので,赤丸部分が該当します.

 

EMVY6R3ADA220MD55Gのリプル電流周波数特性

 

 何故かと言うと,ESRには周波数特性があり,低い周波数では損失(発熱)が大きいためです.以下のグラフはニチコンのテクニカルノートに掲載されている例です.(点線がESR)

 

アルミ電解コンデンサ_ESRの周波数特性

 

 スイッチング電源の入力/出力に使用する場合等,充放電が繰り返される用途で使用する場合はリプル電流が大きいため注意が必要です.また,電解コンを並列にすればリプル電流が分散され許容値が2倍になる,という考え方も危険です.インピーダンスの比率で電流が分配されるため,必ずしも均等には分配されません.

 

■参考リンク
ELENA_アルミニウム電解コンデンサご使用上の注意事項
ルビコン_アルミニウム電解コンデンサの性質
ルビコン_アルミニウム電解コンデンサの寿命について
ニチコン_アルミニウム電解コンデンサの概要
日本ケミコン_アルミ電解コンデンサの上手な使い方

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