コイルの使用例
コイルには,様々な利用方法が有りますが,例えば以下の様な例があります.
■LCローパスフィルタ
コイルと組み合わせてLCローパスフィルターを作ることができます.RCローパスフィルタに比べ,減衰率が高いため,より高性能なフィルタが作れます.また,電力損失が少ないため大電流を流す場合に向いています.
コイルとコンデンサを繋いだだけでは,次に紹介する共振回路となってしまい,カットオフ周波数付近で信号が増幅されてしまいます.通常,コイルのパラメータとしてQという要素があり,これにより増幅率が決まりますが,Qはコントロールができないため,必要に応じてコイル・コンデンサに抵抗を追加することで共振を抑えることができます.
■共振回路・発振回路
コイルとコンデンサを組み合わせると,特定周波数で共振する回路が作れます.LC共振回路には並列共振回路と直列共振回路の2種類があります.
・直列共振回路
直列にLC回路を入れることで,ある特定の周波数がLC回路に引き込まれるため,共振周波数でインピーダンスが急激に下がります.
・並列共振回路
並列にLC回路を入れることで,ある特定周波数でコイルとコンデンサの間でエネルギー交換が行われ,インピーダンスが急激に上がります.
以下の図は村田製作所_ノイズ問題を複雑にする要因より抜粋したものです
これを応用し,オペアンプと組み合わせると発振回路が作れます.以下の例はコルピッツ発振回路と呼ばれています.起動時のノイズやホワイトノイズを元にして,次第に共振周波数のみを増幅し,フィードバックにより安定して特定周波数で発振を続けるようになります.
ちなみに,水晶発振子と呼ばれる部品は,LC共振回路と等価な特性を持っており,マイコンに内蔵された発振回路に水晶発振子を接続することによって基準となるクロックを作っています.以下の図は村田製作所_水晶振動子の基礎知識より抜粋
■昇圧回路
コイルは電圧の積分値を電流に変換するため,電圧をかけて電流が流れた後に電圧をゼロにすると,電流を流し続けます.
その性質を利用し,FETと組み合わせて昇圧回路が作れます.動作としては,FETをONすることでコイルに電流を流し,FETをOFFした時に流れ続ける電流を出力側に供給します.
出力側から見ると,FETがONしているときはダイオードにより影響を受けず,FETがOFFした時に電流が供給されるため,その電流から出力で消費される電流を差し引いた分が電圧として上昇します.電圧の上昇具合は,FETのON/OFFタイミングにより制御できるため,狙った電圧に昇圧することができます.
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