部品の熱対策

 熱対策はケースバイケースで有効な方法が変わってきますが,基本的な対策手法をいくつか紹介します.

 

■ソフトウェアによる発熱の抑制
 ソフトウェアにより動作をON/OFFできる場合,必要最低限のON時間に動作を制限することにより,根本的な発熱を抑えることができます.

 

■スルーホールによる伝熱
 発熱部品が基板に実装される部品の場合,発熱部品が配置されている場所の真下にスルーホールを複数配置することで基板に効率よく熱を逃がすことができます.

 

■ガスケットによる伝熱
 ガスケットやネジ等,基板の熱を筐体に逃がすことができる構造であれば,これらを使用もしくは増やすことにより筐体へ効率よく熱を逃がすことができます.

 

■ヒートシンクによる放熱
 ヒートシンクは熱源の熱をヒートシンク全体に広げ,対流や放射によって空気中に電熱する部品です.ヒートシンクの形状は様々なものが有り,ベースの肉厚やピッチ,配置場所,空冷か自然対流かによっても最適な形状が異なります.表面の放射率を上げる処理(黒アルマイト等)をすると放射率が上がり放熱効率が上がることも有ります.
ALPHA_自然空冷の手引
真田研究室_卒業研究報告_LSIのヒートシンクによる冷却効果

 

■ヒートパイプによる伝熱
 レイアウトの制約で,ヒートシンクやファン等の放熱機構への距離が遠い場合など,発熱源の熱を効率よくヒートシンクやファンの近傍へ運びたい場合,ヒートパイプを使用することで実現できる場合があります.一般的に熱伝導率が高いと言われる銅が398[W/m℃]であるのに対し,ヒートパイプは30000[W/m℃]という驚異的な熱伝導率を誇ります(高価ですが)
TechVillage_放熱,事後対策の進め方_ヒートパイプの選択

 

■ファンによる放熱
 ファンによる強制空冷は,自然空冷と比較して圧倒的な放熱高価を得られます.注意事項については以下のページに分かり易くまとめられています.
山洋電気_ファンの基礎と選定
TechVillage_放熱,事後対策の進め方_熱対策部品の選択方法1-冷却ファン

 

■筐体からの放熱
 筐体を熱伝導率の高い物質に接触させられる場合,そこの接触を増やすことで放熱することができます.それができない場合,筐体の表面に放射率の高い黒アルマイトや塗装などの処理を施すことにより空間への熱放射を増やすことができます.ただし,筐体が樹脂の場合は効果が薄いため,まずは金属筐体(アルミ等)への変更が必要です.

 

■筐体サイズの大型化
 筐体のサイズは大きければ大きいほど熱を平均化できるため,内部温度上昇を抑えられます.
沖電気工業_熱設計の実務と応用_原則4_自然空冷可否は容積と消費電力から推定できる

 

■参考リンク
TechVillage_放熱,事後対策の進め方
サーマルデザインラボ_電子機器の熱設計と部品の熱特性
沖電気工業_熱設計の実務と応用
沖電気工業_電子機器の熱設計と見積りの「つぼ」と「こつ」
富士通テン_熱流体解析技術の開発・実用化と熱設計
小型LED電球の放熱設計
ノイズ対策.com_熱関係

 

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