ダイオードの順方向電流

 ダイオードに順方向(アノードからカソードへ)の電圧をかけると,Vf分の電圧降下をして電流が流れますが,流しても大丈夫な最大電流がデータシートに記載されています.この値を超えないようにダイオードを選定しましょう.例えば東芝の1SS398というダイオードのデータシートでは,以下のように定義されています.

 

ダイオードの順方向電流定格

 

 ただし,温度が上昇していくと,流せる電流が減少していきます.高温で使用する場合には,温度ディレーティングが必要です.例えば新電元のD2F60というダイオードでは以下のように温度ディレーティングを行います.
 ただし,この値はTa(周囲温度)で規定されている上,測定している基板も実際の基板とは異なるため,参考値という扱いです.

 

D2F60の温度ディレーティング

 

 上記電流は,常時流し続けても大丈夫な電流ですが,それとは別に繰り返し流していい電流というものもデータシートに載っています.例えば東芝の1SS398というダイオードのデータシートでは,以下のように定義されています.先ほどの電流との差は図のとおりです(ローム公式ページより抜粋).

 

1SS398の尖頭順電流

 

 この電流についても,温度によって限界値が低下していきますので,温度ディレーティングが必要です.ただし,データシートにディレーティング係数が記載されていない場合もあるため,必要に応じてメーカーに確認が必要です.
■参考リンク
新電元_ご注意事項_P18_ディレーティングカーブ

 

 一瞬だけ大きな電流がかかるような使用方法では,その電流も規定されています.例えば逆接保護ダイオードの場合,回路にはパスコンやデカップリングコンデンサが入っていますので,そのまま繋ぐと瞬間的に大きな電流が流れます.

 

逆接保護ダイオードの突入電流

 

 その場合には抵抗を間に入れることでこの電流を制限します.この時,抵抗のワンパルス電力に注意しましょう.

 

逆接保護ダイオードの突入電流(電流制限)

 

 この電流についても,温度によって限界値が低下していきますので,温度ディレーティングが必要です.ただし,データシートにディレーティング係数が記載されていない場合もあるため,必要に応じてメーカーに確認が必要です.
■参考リンク
新電元_ご注意事項_P25_高温時の突入電流について

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