トランジスタの使用例

 トランジスタには,様々な利用方法が有ります.一昔前はアンプ等のアナログ的な使い方が多く,ネット上でも様々な回路が紹介されていますが,温度補正回路やバラツキのマニュアル補正などが必要で,量産で使用するには難易度が高いため,実際に使用するケースは少ないようです.最近は複雑なアナログ回路はICの中に組み込まれていることが多く,実際にトランジスタレベルで設計する事は少ないため,簡単な使用例のみ紹介します.

 

■オープンコレクタ
 マイコンからの出力信号(例えば5V/0V)の電圧を10V/0Vなどに変更したいときに使用します.この例では5Vを入力すると0Vが出力され,0Vを入力すると10Vが出力されます.

 

トランジスタのオープンコレクタ回路

 

 5Vの電圧を抵抗で電流値に変換し,トランジスタのベース-エミッタ間に流します.トランジスタはその電流を増幅した電流をコレクタ-エミッタ間に流そうとしますが,コレクタ-エミッタ間の抵抗値は0Ωまでにしかならないため,コレクタに接続された抵抗(プルアップ抵抗)によって電流が制限されます.結果的にコレクタ電圧はエミッタと同電位になります.
 ベースに0Vを入力した時はベース-エミッタ間に電流は流れないため,コレクタ-エミッタ間は電流が流れません.つまりコレクタ-エミッタ間の抵抗値が無限大に近い値となり,コレクタ電圧は10Vを22kΩと無限大Ωで分圧することにより,ほぼ10Vになります.
 このような使い方のトランジスタをオープンコレクタと言います.必ずプルアップ抵抗(トランジスタをOFFした時にコレクタ電圧を電源電圧にするための抵抗.電源電圧に引っ張り上げる機能なのでプルアップと呼ぶ)とセットで使います.
 このときの注意点は,この10V/0V信号を受けとる回路が対GNDに流す電流が大きい場合に,分圧されてしまうため電圧が下がる点です.

 

オープンコレクタ回路へのリーク電流の影響

 

■ハイサイドスイッチ
 電源のスイッチ代わりに使用する例です.ある回路ブロックにマイコンからの信号で電源を供給する場合などに使用します.

 

トランジスタ回路例(ハイサイドスイッチ)

 

 ちなみに,下にあるNPNトランジスタがないと,マイコンに電源電圧が印加される・5Vを出力した時にもOFFできないと言った問題があるため入れています.

 

ハイサイドスイッチ駆動トランジスタの役割

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